箱根日帰り旅〜金の竹塔ノ澤〜

東京マラソン2017の日。
都内を抜け出した。

2月の終わり。
まだまだ肌寒く、吐く息が白い。

箱根神社と九頭龍様に挨拶をして。
毎日の繰り返しに感謝して。

子ども達の成長が目覚ましく、頼もしく感じる日々。
数日前から「ママは旅に行ってきます。」と伝えていた。
はいはい。また旅ね。行ってらっしゃい。
旅も毎月行くようになると、子ども達の反応はこうなるのだ。

適度な母親の不在は、お互いの解放でもあるような気がする。
過干渉になりがちな私を。

あれはしたの?
これもしたの?
大丈夫なの?

目が届くと、つい口出ししてしまう毎日に。

二人の子ども達が
分かっていることをイチイチ言うな。と。
態度で、言葉で。

その反応を見ながら思う。
カワイイ我が子達の成長が、何よりも嬉しいと。

そして、シメシメと思うのだ。
側に居ることだけが、母親の愛情ではないということを。

自分で考えて、時間の管理をすることを。

あぁ、九頭龍様。
私は、このような人間です。
卑屈になることも、卑下することもなく。
尊大に思うこともなく、誇張することもなく。
ただ、私は家族を愛しております。と。
周りに居る人達を、こよなく愛しております。

そう報告し、また明日から同じように繰り返す。

ダウンコートやマフラーをした人達で溢れる箱根駅前。
行き交う人達を眺めながら、それぞれの生活を想像する。

日帰りかしら。
温泉には入れたのかしら。
みんなどこから来たのかしら。
週末の時間にどうして箱根を選んだのかしら。

心の中でつぶやきながら。
お昼のお蕎麦屋さんへ向かった。

駅前から少し離れた竹林の中にひっそりと佇む。
カリカリに揚がった天ぷら。
ツルツルとしたお蕎麦に日本酒が優しく胃に届く。

日帰り温泉の利用では勿体ないその宿は、丁寧に私を迎えてくれた。

各部屋に温泉があるためか、温泉大浴場には誰も居なかった。
貸切状態で一人。

まだ子ども達とお風呂に入る私は、気兼ねなく手足を伸ばした。

何も纏わず。
何も考えず。
何も捕われずに。

いつも誰かの側に居る毎日。
一人暮らしをしていた頃の自分からしたら、考えられない毎日。
一人の時間が好きだった私は、いまもこうして半ば強制的に時間を持つ。

私は、私でいるための時間が必要なのだと。
私が私を保つための時間を。
だからこそ、家族と居る時間がより愛おしい。

吹き抜けるような段差のない空間。
テラスにあるお風呂に身を沈めながら。

母である私と、
妻である私と、
個人としての私と。

固まっていたあらゆるものの蓄積が溶け出す。
溶け出した後の身体は、浄化されたように。
私の新陳代謝。

その都度、生まれ変わりながら。
その都度、本質を見つめながら。
 
 
 
 
 
 
金乃竹塔ノ澤
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箱根神社(九頭龍神社)
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杣の栖(塔ノ沢)
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