vol.62　瑞々しさを失いつつある日々と、その先と。〜シャングリ・ラ　ホテル東京編〜

見慣れたその風景を見下ろして。
私は、この日もラグジュアリーなホテルを訪れていた。

鳥カゴが大きくなっているだけで。
私はちっとも飛び立てていないんじゃないか。
もしかしたら、一番苦しい状況なのではないか。

そう思いながら。
その日を過ごしていた。

40代も半ばに差し掛かり。
驚くほどの早さで時が流れゆく。
同じことの繰り返しのようでいて。
そんなことは全く無くて。

女性の色香はいつ身につけられるのだろうかと。
ある種の憧れと諦めを内包して。

襟付きのサックスブルーのワンピース。
幼さと女性らしさを引き出してくれていたように思うのだけれど。
肌の露出が全てではなく。
自分らしく着こなせることが大切だと思っている。

どうやら、ここに来て。
私の運命がまた動くらしい。
その兆しを感じながら。
抗うことのできない自分の性（さが）に。
流れる時が示す。

それはまるでエナジーバンパイア。
次々と吸収しては、振り返りもせずに前に進む。
そういう生き物の存在を。
わたしは身を持って実感する。

緩やかでいいから。
ただ知らない世界を覗きに行きたいだけで。
そうして、旅をしながら。
新しい刺激と知識を身につけて。

イメージした通りの人生を歩んでいるのだろうか。
そもそも理想の人生とは何なのだろうか。

私はただひたすらに。
刺激ある時間を重ねたいと願い。
自分らしく生きることに忠実だった。

どんなに泣かれても。
脅されても、説得されたとしても。
変化してしまった心は、元には戻らない。

無垢でいることは罪深く。
その先の何かを求めて。
人は成長してゆかねばならないのだから。

例えそれが苦しくとも。
むしろ苦しいが故に。

手放して、許していくしかないのだから。
　
　
シャングリ・ラ　ホテル東京
・CHI スパ
・ピャチェーレ
https://www.shangri-la.com/jp/tokyo/shangrila/