vol.58 42階からの眺望と羨望と欲望と。〜アンダーズ東京編〜

東京タワーも、スカイツリーも。
富士山が遠くに見える景色に。
こうして眺めることが常になった。
私は地下から天空までを見渡していたいと思う。

「君は本当のアンダーグラウンドを知らないよね。
でも、そこは必要なことではないから無知なままでいていいよ。」

そう言ってくれる人がいた。

私は経験値以上の苦しさを知らない。
ただ、それでもそれなりのことを重ねていると思いながら。
それを補うかのように、見聞きすることで疑似体験をする。

40代も半ばに差し掛かり。
人生のこれからを考える。

コロナ渦が始まって。
私の仕事スタイルが激変した。

それまで対面だったイベントの司会も。
スタジオで収録していた現場も。
一旦、全て消えてしまった。

20年以上前。
東京の大学を卒業して、地元のテレビ局にお世話になった。
そこから、フリーになり。
テレビ・ラジオのパーソナリティをしたり、テレビCMに出たりして。
憧れていた仕事が充実していた頃、私は27歳で結婚をした。
その時に、一度全部手放した。

新生活を迎えるために、私は籍を移した。
私は実家で暮らしていたが、
新しい家族と一緒に生きることを決めたのだ。

当時はそこまで大きな決断だという実感は薄く。
それから数々の試練が訪れたけれど。
世間知らずに育ててもらったことに、感謝している。

子育てをすることで。
私は大きな試練に直面した。
それはまるで修行のようで。
終わりの来ない日々を重ねて。

精神的に追い詰められて、自分を見失った。
全部壊れてしまったと思ったけれど。
私の核は残っていた。

私は再生したのか、生まれ直したのか。
数年後には、別の自分が生成されていた。

それまでの自己中心的な考え方から、
自分を大切にしながら、他者を愛することを知った。

ある意味、開眼したと信じている。

それから、しばらくして。
コミュニケーションの講師として。
伝え方について教えることにした。

人が求めていることは様々で。
あらゆるシーンによって、切り口を変えて提供をしている。

プロとして。
姿勢、発声、滑舌、間の取り方、抑揚、語尾、理解しやすい言葉選び、場面による切り替え方、立ち位置について、などあげればキリがない。

心理学・コーチング・カラーセラピー・アンガーマネジメントなどを学ぶことも大きかった。好きな現代アートも美術館を訪れたり、ラグジュアリーなホテルや、食事に行くことも大切にしていた。
私には欠かせない時間だった。

そうして、好きなことをしながら、苦しいことも重ねながら。
表裏一体の世界観を楽しんでいた。
全てが因果であり、側面だけの世界などないのだと。

カウンセラーと言い切ることとか、アナウンサーだと名乗ることなどに。
いろいろな抵抗を感じていた。
私の肩書きはなんだろうか。ということを模索し、その全てが自分なのだと自覚していても。

だから、私は私の一部を切り抜いて表現することにした。
それぞれの使い分けをしながら、求められていることを全うする。
そうして、私はわたしの中で棲み分けたり、ぐるぐるに混ざって生きている。

それから。
誰もが当たり前にできると思っていたけれど。
そうでない才能を持っていた。

相手の感情にシンクロする。
自分でコントロールできなかった時は、不意に涙が流れてしまって。
どうしていいのかわからないこともあったけれど。

今は、セッションをしながら、相手の心とシンクロする状態になっている。
その人の感情が私の中に入ってきて。
代わりに涙を流すこと。
その人が言えなかった言葉を私が代弁することで、その人が本当の感情に気づく。
そんなことをしている。

時折、聞かれる。
「その人のマイナスのエネルギーを受けてしまって、大丈夫なの?」と。

「それがね。セッションが終わったら、シンクロも終わるのよ。
その人として生きているわけじゃないから、私はその時だけその人の感情を受け取るだけだから、私本体には影響がないと思うのよね。」

まるで映画を観るように。
私の中に投影される感情。

それでも、休息が充分に取れなくて疲れている時は、
ただひたすらに眠る。

誰にも会わずに。
誰にも触れずに。
誰とも話さずに。
何も食べずに。

渾々と眠り続けて、私は自分のバランスを取る。
殻に閉じこもることは、決して悪いことではない。
その出てくるタイミングを間違えないように。
周りの理解が必要なのだ。

自分のバランスの取り方を知っていると楽だ。
どうすれば回復するか分かるから。

誰とのアポも取らず。
誰かとの時間ではなく、自分の時間を確保する。
そうして、私は自分の均衡を保つ。

現代社会において、時間の流れが早すぎて。
無意識のうちに皆が疲れている。

環境を変えればいい。
それだけでも随分と違うのだから。

娘は早々に家を出る決意をしていた。
高校は、寮生活がしたい。その一心で。
その続きは、次の旅で語ろうと思う。

それぞれが、自分らしく生きられるような人生を。
私はそっと背中を押せるような存在で在りたいと願う。

<訪問先>
アンダーズ東京
https://www.hyatt.com/ja-JP/brands/andaz

AO スパ&ラウンジ
https://www.hyatt.com/ja-JP/spas/AO-Spa-And-Club/home.html

The Tavarn Grill & Lounge
https://www.andaztokyo.jp/restaurants/jp/