vol.89 新たなゆかりの地を記憶に刻むように〜函館編〜

訪れたのは何度目だろうか。
学校の下見のために函館に来てから、3年が過ぎた。
入試、入学式、家族旅行、三者面談・・

何かと理由をつけて、娘が過ごす函館の街へ。
家族旅行として、私の気分転換として。

東京から飛行機で1時間半。
新幹線で5時間。

今回の目的は、進路選択のための三者面談として新しい担任の先生と話をすること。
もう一つは、私の誕生日に合わせて娘に会いにいくことだった。

港町の独特の雰囲気。
異文化が交じる街並み。歴史ある建物を巡る時間。

高校時代の3年間を過ごすことを決めたのが、つい先日のようで。
もう最後の1年になるのかと、親としてできることを考えながら。

繊細で大胆で。
すぐ泣く娘と話しながら。
（泣くことが恥ずかしいことではないこと。泣く感情を解放することなど。
親の前で見せる涙は素直で清々しささえ感じる。そして、私も涙腺が弱く、そんな母親の姿を見ながら育つとこうなるのか。）

高校での進路の向き合い方が、自分の当時とは違い。
とても真摯であるし、それがまた苦しそうというか。

ゆるゆると流れながら、その時の縁に乗ってきた私にとって新鮮であり、楽しみにもなっている。

私は、世間をあまり知らない方で。
また興味もなく。
学歴や派閥にも疎く、伸び伸びと好きなように生きてきた分。

年齢を重ねて見えてきた社会の構図や縮図を遠目に眺めつつも、
ある意味、どこにも属していなかったことが功を奏したパターンの人生。

そう分析しながらも。
私自身が経験してきたこと、体感したことの処世術が役に立てばいいと願うのは親心。

甘えさせる意味は、手取り足取り全て代わりにしてあげることではなく。
自分で考え、決められて行動できること。
まだ視野がまだ狭いので、その部分を補いながら、今理解できなかったとしても
将来に何か感じてもらえたらいいという、親のエゴであり愛情を伝えておきたい。

そのバランスを見極めながら、私自身が後悔したくないという理由もあり。
また、教育現場の様子を肌で感じられるのが当事者の親である特権とも言えよう。

それが特権だと感じるのは、人それぞれだろうけれど。
少なくとも私にとって、息子の高校受験と、娘の大学受験は興味深いものになっている。

評定偏差値がどうだとか、学校のレベルがどうだとか。
本当にいろいろあるけれど。
やはり行き着く先は、本人の相性と意欲だろう。

生き生きと健全な時間を過ごしてほしいと。
未来ある若者の・・・と、自分が10代２０代だったころは、とても陳腐でつまらない表現だと思っていたし、自分がそんな存在などと思ったためしもなかったが。

こうして我が子を育てながら、そのフレーズに含まれている奥行きを感じながら、誰もがその個性を伸ばせる環境で育まれてほしいと願うのだった。

函館の街を歩きながら。
初めて訪れた時と同じ印象を、今回もそこに暮らしている人たちから抱いていた。
気さくに話をしてくれる姿。
誰をも受け入れてくれる雰囲気。
包み込むような温かさを感じながら、
ホテル対応、カフェや交流館のみなさんが私に丁寧に歴史を教えてくれたりした。

担任の先生も同様で。
函館はいいところですからね。と。

初めて訪れた時の直感は正しくて。
あぁ、ここの街だったら娘は大丈夫だと。
そう素直に感じたこと。

3年過ぎても同じで。
やっぱりここにしてよかったと振り返りながら。

娘の高校生活に終わりを告げたら、
こんな風に訪れる機会は減ってしまうだろうけれど。

それでも、この街が好きで。
そんな地で、47歳の誕生日を迎えられたことが嬉しく。

１０代の未来への選択を応援しながら。
私自身もまだまだ好奇心に溢れている。

苦しい時も楽しい時も。
振れ幅があるから、人生の深みとなる。

快楽を求めるだけではなく。
それしかない人生は瞬く間に苦痛となり。

酸いも甘いも知ることで。
より豊かな人生になることを、先人たちは教えてくれているのだから。

＜訪問先＞
ラ・ジョリー　元町
https://lajolie-hakodate.com

五島軒　レストラン雪河亭
https://gotoken1879.jp/restaurant/

函館山ロープウェイ
https://334.co.jp

函館市地域交流まちづくりセンター
https://hakomachi.com

ファイヤーバーグ　函館本通店
https://www.fire-burg.com

函館ビヤホール
http://hkumaiyo.com

スペシャリティーコーヒー専門店ココロ
https://www.instagram.com/specialtycoffee_cocoro/

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