vil.101 ドバイ行きは息子の人生に影響を及ぼすのか〜価値観を植え付ける編〜

ボーダレスということはどういうことなのか。
頭で考えることも、想像することも。どちらも大切である。
ただ、その状況に直面した時に、どう対応するのかは無意識なことが多い。

「不用意な言葉で相手を傷つけてしまった。」
「突然のことで、なんて言っていいのかわからなかった。」
「正解がわからなかった。」　など。

そもそも正解などはなく、その人にとってどう受け取られるかが重要であり、あらゆるハラスメントも誰が何を言ったか、どういう態度だったか、ということで受けての捉え方に委ねられる。

とはいえ、多様性というものはそれぞれの価値観によるもので、「普通」や「常識」の定義などそれぞれ違うものなのだ。
国や文化のレベルまで広げなくても、各家庭の小さなコミュニティだけで大きく違う。
そういうことが理解できないことには、世界を語るには及ばず。

とにかく体験や経験をしている人には敵わないのだ。
だからこそ、実際に見聞きして、体感して、五感で感じることでしか教えられない部分が大きいので。
本人が感じて、考えることでしか、その価値観は養われないし、広がらない。

遊ぶことはとても大切な教育であり、経験なのだ。
その機会を奪ってしまうことは、その人の可能性を潰してしまうことになる。

経済的な理由で諦めないといけないこともあるけれど、本当に諦めなければならないくらいに困窮している人よりも、気持ちのブレーキがかかって、世間を見ることや世界を見ることを躊躇したり、止めたりするのではないだろうか。

とにかく、私は息子と一緒に海外へ行くことにし、息子もそれに同意した。

タイでの物価の安さや、湿度の高さなどを実感した数日を過ごした後のドバイ。
空港を降りて、タクシーでホテルまで移動する車窓から。
私は「建物がアート！」と、はしゃぎながら移動した。
そんな母親のリアクションを多少の覚めた目で眺めながらの息子をよそに、自然体の自分で訪れていた。

ドバイでは経営者合宿の目的で参集し、息子も同行させてもらうことになったのだ。
30代〜50代の男性経営者6名ほどと一緒に行動することは、私だけでなく、息子にとって最高の経験であり、財産になるのだと行く前からわかっていた。

私が家庭教育でいくら伝えていたとしても、（そもそも中学生男子などは母親のいうことなどしっかりと聞いたりはしない）この飛び抜けた経験値や価値観を持っている人たちに直接会って、会話をし、自分の考えを述べて聞いてくれる環境などあるだろうか。
中三の息子のことを尊重し、話してくれている様子を思い出すたびに、感謝の気持ちが何度も湧き上がる。

日本ではなくて、異国のお金持ちの国と言われるドバイだからこそ、より響くのだと。
お金が全てではないけれど、お金がないと何もできない。
世界で遊びたいと思っても、生活することに精一杯だったら遊ぶ余裕も時間もないのだから。と。

そういう当たり前のことを想像するだけでなく、実際に経済的にも豊かで、家庭を大切にしながら、自分の目標に対してストイックに生きている姿と考え方に触れて。

この先どんな影響がでてくるのだろう。
子育てを楽しみながら、私自身もこれからの人生をもっと謳歌していくことが、我が子に対する生き方の示し方なのだろうと。

ドバイフレーム、ドバイマリーナ、アブダビ、カスールワタン宮殿とドバイの名所を巡る数日間。
東京から静岡の距離をタクシーで移動したりしながら、息子は私以上に物価や経済のことを敏感に察知していたように思う。
10代の瑞々しい感性を大切にしながらも、出会う大人によって人生の鮮やかさが決まっていくようで。
その時間に立ち会えていると思うと、結局は自分のエゴで連れてきているし、それを自覚せざるを得ない。

ただ「こう感じなさい」ということは、親だとしても誰にでもできないことなのだ。
その環境を用意してあげること。
その匙加減を見極めながら、楽しく過ごすだけでなく、真剣に生きることと向き合う。

旅は人を成長させる。
学びも知識も好奇心も刺激する。
スマホからの動画だけでは得られないものが、広がる世界を。