vol.66 羽化した私と京都巡り 〜HIYORI チャプター京都トリビュートポートフォリオホテル〜

両手で抱えられるだけの想いは限られているのだろうかと。
過ぎ去りし日々を振り返ることをせずに。
前だけを向いて歩ける人はどれくらい存在するのだろう。
人生の分岐点を繰り返し。
選んだ道を歩みながら、選択を重ねて生きている。

私は欲張りでありたいと願いながらも。
何かを得ることは、何かを諦めることだと思っていた。

どこの学校へ行き、どんな仕事を選び、誰と結婚するのか。
どういう恋愛をしてきて、離れてきたのか。
仕事で行き交う人たちや、一期一会の流れの中で。

旅先での出逢い。
それは人とだけではなく、歴史だったり、建立物であったりもする。
万物の中で自分が存在することで。
後悔をすることのないように、自分の責任であり続ける。

そうして今の積み重ねを未来に向けて放ちながら。
「時間軸はね、逆なんだよ。」と教えてくれる人がいた。

「未来から流れてくる今が幸せだとしたら、未来はもっと幸せだからね。
もちろん、その逆もあるから。
だから、今をどれだけ良いものとして捉えられるかが大事なんだ。」
そんな会話をして。

鴨川の流れを横切りながら。

自分が崩れたり、壊れたりしまわぬように、
すり抜けてゆく過去と現在と未来を。

透明なままで生きていけたらいいのに。

そんなことを考えていたようにも思うし、
ただ漠然と目の前の景色を眺めていただけかも知れない。

10年という単位が瞬く間に過ぎると感じるようになり。
我が子の成長と共に、自分の軌跡を辿る。

新宿から函館の高校に進学した娘が、夏休みで帰ってきた。
ペカペカと輝かんばかりのその表情や雰囲気に。
何も言わずとも安堵できることの有り難さ。

本人も自覚しているようで。
多分、視野が広がったこと、自分に自信がついたこと。
この先も幾度となくチャレンジし、乗り越えていくのだろうけれど。

その都度都度を。
人生を味わい尽くして。
お腹から声を出して笑えるように。
楽しいことも、苦しいことも、切ないことも。
思い通りにならない理不尽なこともあるだろう。

大人になれば、その葛藤や苦悩、チャレンジが終わるのではなく。
大人になった時こそ、
どう向き合えるかの経験を重ねる時期なのだから。

それすらも、血肉となり糧になるのだから。
いつまでも無邪気に笑えるように。
私自身もそうであれるように。

「ねぇ、英語を教えて。」
「発音も教えて。」
「司会の仕方も、アナウンスの仕方も。」
コミュニケーションのスキルを、惜しみなく注ぎながら。
そうね、世渡りのことなら何でも聞くといいわよ。と。

同じ空間で伝えられる夏休みのギフト。

一緒に暮らすことだけが、愛情ではなく。
身の回りのケアを親身にするだけが、母親の役割ではなく。
人生を応援することが支えなのだと信じている。

だから、私は引き止めることなど微塵も思わなかった。

飛び出していきたい衝動を同じように抱き。
無敵感すらあった当時を振り返る。
あの頃は、何にでも成れる気がした。
若さ故のエネルギーを。

身近な大人が摘んでしまうことの罪を。
気づかないままいることの罪を。

何かをしたい。という欲求を持てることの素晴らしさを。
自分の生き様でしか伝えられないような気がするのだから。

大人になって輪郭が曖昧になってしまっていた未来像を。
この夏、私は幾度目かの取り戻しを計っている。

そうしてまた旅に出ながら。
心を満たして。
古の重さと、新しいエネルギーを取り入れるのだ。

<訪問先>

京都御所
https://sankan.kunaicho.go.jp/guide/kyoto.html

HIYORI チャプター京都トリビュートポートフォリオホテル
https://kyoto.hiyori-chapter.jp

村上開新堂
http://www.murakami-kaishindo.jp

鴨川(京都・四条)
http://www.pref.kyoto.jp/kamogawa/

喜八洲総本舗
http://www.kiyasu.jp

伊丹空港
https://www.osaka-airport.co.jp

手づくりハンバーグの店 とくら
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