qu’il fait bon

お土産にいただいたキルフェボンのケーキ。
私はタルトが大好きで。
いつも自分の誕生日にはタルトケーキを選ぶようにしている。

苺がとっても美味しくて。
ぎっしりと詰まった感じも愛おしくなるくらい。
食べた人が幸せになるようにという思いが伝わるケーキ。

それでもね。
それでも。

どんなに美味しいケーキでも。
食べられないことだってあるの。
そうやって躊躇している私をよそに。

食べないなんて信じられないと言わんばかりに。
「はい。これママの分ね。」と差し出された。

うん。
ありがとう。
ママの分ね。

それでも。
こんなに切ない気持ちでケーキを食べたことがあるだろうか。

あ、あった。
ケーキじゃないけれど。
切なさでいっぱいになって食べたステーキを思い出す。

切ない気持ちや嬉しい気持ちは、
そこにある全てが切り取られて記憶の奥底に刻み込まれる。

私には都合よく物事を忘れられる装置がついているけれど。
それと同時に。
ふとした拍子に、記憶が蘇るスイッチもあるの。
匂いだったり、音だったり。
五感で思い出す記憶がするすると。
映像で流れてくるのだから。

それは私の視点からだけではなくて。
私自身を俯瞰した映像だったりする。
自分でもよくわからないけれど。

刻み込まれるあらゆることを。
私はいつまで覚えていられるのだろうか。

そして、
忘れてしまえたらいいのにと願うのだろうか。

それらを内包して。
私が形成されていく。
私の中で昇華して。
百戦錬磨のような風格を身につけられるのだろうか。
もしくは、達観した菩薩のように。
いつも微笑みを湛えらえるようになるのだろうか。

先のことはわからないけれど。
私は今日も。
一つ傷跡が残った。
無垢でいたいなどとは思ってはいないけれど。

繊細だと言われようとも。
それが私なのだから。
どうにもしようがないのだ。

キルフェボン
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