FiGARO

そこは懐かしい景色だった。
30年前に通っていた歯列矯正歯科の入っているビル。

当時、小学生だった私は何も知らずに片道３時間。
「あさま」に乗って。上野駅で降りて。銀座線で表参道へ。

一人で通っていたけれど、初めて一人で行くことになった日。
父は、まるでストーカーのように私を遠くから見守っていたという。

当時、ケータイなんてなくて。
私を見失った時は、大いに焦ったという。

私が短期留学から帰る日も。
ちゃんと飛行機に乗ったどうかも空港に電話して。
ちょっとした裏技で安否確認をしたことも。

破天荒な人が身近にいると。
それが基準になっていることにすら気づかなかった。
もちろん、その血が流れているのは重々承知で。

私もわたしらしく生きいく。

　FiGARO
南青山フレンチレストラン フィガロ
http://french-figaro.com/