そこはとても静かな空間だった。
「ここはデザイナーさんがどの角度から写真を撮っても画になるようにと、
計算されて造られているんです。」
「本当は、ここはリネン室になる予定だったんですけどね。
デザイナーさんが、それじゃイヤだっていって。」
スタッフの方に別々に聞いた内容。
ここで働いていることが好きな人達が、この場所を愛しながら整える。
部屋の中に閉じこもる時間もいいけれど、建物全体の息遣いを知りたくて。
ここにこれがあるといいでしょ。
ここはこんな想いで設計したんだよ。
細胞が生まれ変わるような感情の代謝を感じながら。
いつしか壊死していた細胞がほろほろと崩れ落ち、新たな細胞に替わる。
一枚板のカウンターに、ズルリとうつ伏せていても。
スタッフの距離感が心地いい。
軽く放置してくれているところ、余計な気を遣わせないところなど。
サービスという名の過剰さを排除している心遣い。
春はどんな表情なんだろう。
夏はどんな景色なんだろう。
こんなにも強く再訪を期待することなど、滅多にないことなのに。
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